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普通2種免許取得記 [資格]

 2013年夏、私の勤務する会社は2年連続で9日間という長い休みとなった。今年は去年断念した南米に行くかと思ったが、筆者はその時間を全く別のことに使うことにした。それは
合宿による普通2種運転免許の取得
であった。普通2種運転免許とはタクシーや運転代行など、有料の旅客を運送するための自動車を運転するための資格で、いわば運転のプロライセンスである。合宿免許は主にまとまった休みの取れる学生が中心。総費用は通学による免許取得とそうは変わらないが、普段と異なった環境で、志を同じくする仲間と、宿泊と食事を提供されながら、およそ2週間で取得することができる。通学だと自分の都合の良い時間を取れないことに悩まされながら1ヶ月はかかるだろう。またプランによるが合宿地までの交通費の補助があったり、卒業するまで延長教習料金が無料というところもある。
 このような合宿免許だが、9日以内で卒業できて、しかも普通2種免許を扱っているところというのは極めて少なかった。卒業まで最短9日間と謳っていても、入校日が水曜日に限られているのはダメだ。会社の休みは土曜から次の週の日曜日までだからだ。
 条件が合ったのは、徳島の鳴門自動車教習所であった。入校日は月曜日となってしまうが、最短7日間で卒業と書かれていたので大丈夫。徳島なら筆者の住む和歌山からフェリーで2時間。しかも鳴門なら徳島から10キロぐらいしか離れていないから自転車で移動できる。また鳴門ならば、万が一夏休み中に卒業できない場合でも、通学することもできないこともない。自動車学校では教習内容を引き継ぎながら転校はできるのだが、かなり割高となってしまう。
 普通2種はAT限定とした。これだと客がマニュアル車に乗っている可能性がある運転代行には対応できないが、今やタクシーはほとんどATだ。何より筆者は教習所を卒業して20年以上マニュアルミッションを運転していない。2種特有のハンドル裁きのほかにクラッチ操作をしている余裕はない。何しろ7日間で卒業しなければいけないのだ。ただ、教習料金はATもMTも同額である。
 教習は鳴門で行うのだが、合宿免許の申し込みは大阪の仲介業者を通じて行う。筆者の場合は「合宿免許ワールド」という業者で、総費用22万円のうち2万円を2月中に支払い、7月になって残金を支払った。
 ちなみに普通2種免許には、合宿免許の他に、免許センターが実施する試験を受ける方法もある。この方法は安上がりなのだが、平日の月曜日と金曜日しか試験を行っていない。この試験は、警察が実施しているだけあって採点は厳格で、5回ぐらいは普通に落ちるという。筆者の勤めている会社はそう簡単に何回も有給休暇をとれないので、この「一発試験」は断念することになった。

第0日 8月11日(日) 晴
 入校日は月曜日だがフェリーの時間が合わないので、徳島に前泊することにした。
 自転車で和歌山港に向かう。1週間分の荷物を背負っているので重い。泊まるのは寮であってホテルではないので、タオルは自分で持ってこなければならない。
 13時40分発の徳島行きフェリーに乗る。さすがにお盆休みで混んでいる。他府県ナンバーが多い。自転車は最後の方の積み込み。
 船内は椅子席で過ごす。いつの間にか持ってきたスマホのカメラが使えなくなっていた。アンドロイドはアホだ。いろいろやってはみたが、結局、フルリセットした。ちなみに使っているスマホは富士通F02Eである。
 宿泊はカプセルホテルにした。ここのカプセルは変わっていて、机のあるワンルーム仕様になっている。阿波踊りの舞台が整えられた繁華街を練り歩き、一杯やった。入った店は常連客を大事にしているようで余所者には面白くなかった。

第1日 8月12日(月) 晴
 9時20分、鳴門に向け出発する。予めルートは調べてあったし、去年渦潮を見るために自転車で走った道なので、鳴門自動車教習所まで迷うことがなかった。
 目標のファミリーマートに到着し、ここで昼食用のおにぎりを買った。初日は夕食からしか提供されないからである。
 10時30分、鳴門自動車教習所に到着。周りは芋畑や梨園が基本ではあるが、矢倉団地という市営住宅がある。水をたたえた用水路が道路に並行している。
 教習所の事務所はプレハブ造りの2階にある。
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 階段を上がって名前を告げると、誓約書にサインさせられ、視力検査を受ける。深視力検査は不安だったが、意外とできた。これが不合格になると当日キャンセル扱いになるという。
 12時に歩いて2分の宿舎「ヴィルベルII」に車で移動。私以外に豊田ナンバーの男性も一緒。彼は大型を受けるようだ。あてがわれたのは2階角部屋。荷物を置いて、寮のおばさんから説明を受ける。部屋の掃除は月水金土の週4回。全館禁酒というのは痛いが、若者の多い合宿免許だからトラブル防止のためにはやむ得ないだろう。カビ防止のため部屋干し不可とのことだが、おそらく乾燥機を使わせるための作戦だろう。
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↑宿舎「ヴィルベルII」
 ポットの湯でお茶を沸かし、おにぎりを食べて、自転車で近くのスーパー「マルナカマート」へ。エアコンが効いていて涼しい。しかし屋内の熱を外に逃がしているだけなので、屋外の気温は着実に上昇している。地球温暖化は不可避である。
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↑スーパー「マルナカマート」
 14時10分、適性検査はパソコンで行う。次の学科講習まで時間があるので、ファミリーマートに行った。
 15時10分、学科は1人。2種免許とは何かという趣旨のDVDを観る。
 16時10分、場内実地練習。ハンドル操作と速度を抑える練習。ただひたすら外周を回る。既に運転免許を取得して30年近く経過している。ハンドル操作は手放しでまっすぐに戻すし、送りハンドルも常用しているので、いまさら手をクロスさせながらハンドルを回すのは窮屈でしかない。
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↑コース
 17時20分、S字クランクバック。30年前は悪戦苦闘したものだが、こんなのはへっちゃらになってしまった。自己流の癖を抜いて法規走行を覚える。
 18時20分、学科5。内容忘れた。
 19時20分、実地で鋭角初体験。これは2種免許特有のコースである。正三角形の頂点のような鋭い鋭角を走らせる。左に曲がる場合、クルマを出来るだけ右に寄せ、少々遅れ気味に左に大きく回り、切り返すのがコツ。事前の予想よりも上手くいった。
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↑鋭角コース
 20時20分夕食。量は少ないので、ファミリーマートに行き、お菓子を買い、ノンアルコールビールで初日を祝う。テレビは阿波踊りの中継をしていた。
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s-DSC_0014.jpg↑宿舎室内
 部屋の冷蔵庫は保冷庫という感じで、ほとんど冷えていない。有線LANのジャックはあるが、手持ちのスマホに接続しても何も起きなかった。

第2日 8月13日(火) 晴
 深夜暑さで目覚める。地球温暖化には逆行するが、エアコンはつけっぱなしにすることにした。
 7時30分、鳴門線教会前駅まで走る。「教会前」とはバス停のような駅名だ。駅前にあるのは天理教の教会だった。
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↑教会前駅
 8時、はじめての朝食。私が普段食べている量の半分くらいだ。
 9時10分、縦列駐車。田舎に住んでいてほとんどすることがないので忘れかけた技術だ。10時10分、学科。11時10分法規走行。14時10分学科。
 暑いので無性にアイスを食べたくなり、ローソンでラムレーズンを買う。ハーゲンダッツがなかったのでグリコを買った。近くのスーパーにはハーゲンダッツすらなかった。
 16時10分、実地展開復習。
 17時20分から2時間の学科。2種の学科は1種の4倍のスピードで進む。
 19時30分夕食。魚のフライ。とても量が足りないので、スーパーで買った菓子を食べる。
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 寮は安普請なので隣の部屋のアラームや話し声が聞こえる。隣はツインルームらしい。

第3日 8月14日(水) 晴
 6時30分起床。7時、2.5キロ離れた徳島空港まで走る。徳島空港は滑走路延長を機にターミナルビルが海側に移転し、旧ターミナルは空き家となっている。現在、免許センターに改装中である。
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↑改装中の免許センター
 9時10分、実地法規走行。同じことの繰り返しで飽きてきた。外周を回り、坂道発進、障害物を避けて、踏切停止。この時は窓を開ける。方向転回は右左両方。縦列駐車。自車の後ろが隣の車の後ろに差し掛かったら、ハンドルを左一杯に切る。自車の右後ろが後方車の右前に差し掛かったら、ハンドルをまっすぐに戻す。最後に自車の左前タイヤが前方車の右後ろに差し掛かるところでハンドルを右一杯に切る。縦列はもう大丈夫だ。鋭角はさっぱり外が見えず、空中に浮いているような状況でのハンドル操作でうまく行っているのかどうかわからないが、とにかく教官のいうようにハンドル操作をすれば切り返しは一回で済む。
 10時10分、学科シミュレーション。これで早くも第1段階の学科終了。
 11時昼食。3時限空いて時間があるので、卒業検定コースを自転車で走ってみた。暑かったし、ずいぶんややこしく正確にトレースできなかった。
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 14時10分頃戻る。部屋の掃除は終わっていた。どうやら12時から14時の間に掃除をするようだ。
 15時10分、第一段階唯一のシミュレーターを体験。30年前の自動車学校にはそんなものはなく、これは初体験だ。三菱製でブラウン管3面を使っている。ソフトはかなり古く、CGも今となっては過去のものだ。カーブのハンドル感覚が軽すぎる。一台1200万円もするらしい。高価なおもちゃである。それは教官も認めるところだ。
 16時10分、この教程で学内の課題を終え見極めとなる。小学生の計算ドリルをやるようなもので、そつなくこなして突破。
 17時20分から20時10分まで連続学科3時限。教材にDVDを使う。ディスクに傷があるところはもろに影響が出る。耐久性はビデオと変わらないのではと思ってしまう。デッキはほとんど世間で見ないポラロイド製。
 学科は教科書の順番と異なるし、重複しているところもあって、内容はぜんぜん記憶にない。試験に出ると言ったところはしっかりマークした。
 一緒に受けた人は大型2種。仕事の関係で中断し、久々に来たので車庫入れが上手くいかないと言う。
 帰りにペットのワインを買った。見極め突破記念という名目である。
 20時30分夕食。こんな遅い時間に食べると、2時間残業している頃を思い出す。
 祝杯のワイン。全然酔った感覚がない。
 23時00分頃寝る。

第4日 8月15日(木) 晴
 6時起床。気分的にはジョギングしたいが、今日は20時10分まで連続講習があるのでやめた。
 まずは9時10分から16時まで6時限連続学科。職業運転手として必要な救急介護の知識である。生徒は私の他に大阪から来た大型2種の男。あとは地元の普通2種の年輩の男2名であった。
 内容は1月に赤十字で受講した救命員と同様だった。昼前の講義はほぼ雑談だった。
 教官は自らの救護の体験を語った。
・エピソード1
教習中に自動車の接触事故に遭遇した。加害者の60歳の男性はパニックで連絡も出来ずタバコを吸っていたという。被害者は中国人で言葉が通じない。その中国人の働いている工場の人がやってきて何とか事情を理解したという。
・エピソード2
 その他にはサーフィンで波待ちをしている東南アジア人を溺死から救ったことがあるという。勇気を奮って口移しによる人工呼吸を吹き込んでみると、胃の中の滞留物が一気に口から吹き出し、その時偶然に息を吹き返したという。その人は留学生だったという。
・エピソード3
 自動車教習所は様々な人種がやってくる。大型トラックを運転手などは大体は堅気でないし、ヤクザや社会不適格者もやってくる。
 極めつけは暴力団の幹部が合宿で受けに来たことで、宿舎はリゾートホテルで秘書の運転するクルマで通学。授業態度はまじめで優秀だった。ただし卒業検定の日は教習所の周りに黒塗りのクルマがずらりと並び、まるで幹部が刑務所から出所してきたがごとくであったという。
・エピソード4
 社会不適格者では人の話も理解しているのか怪しいのもいた。教習原簿に3枚の紙を追加せねばならぬほど見極めを落ち、結局退学した。
・エピソード5
 他には合宿生で他の部屋に話をしたくて訪ねて来るのもいた。他の合宿生が迷惑になるので、母親に来てお引き取り願った。
・エピソード6
 面白いのは、21歳ぐらいの細い女性が大型2輪の免許を取りに来た話。彼女はSM女王で全身に入れ墨。身体は美容整形や豊胸で600万円程かかっていると自慢する。全部パパが出してくれるんだそうだ。しかし教習は思うように進まず、予定の日数を越えてしまった。するとある教官が彼女に口に含んだ水をかけられ、消火器を持って暴れ出した。どうやら持ってきていた覚醒剤が切れたらしかった。頭を七三に分けたパパが示談金を持って後始末しに来た。

 昼食は1時間で慌ただしい。
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↑お汁は昼も夜も毎日同じ
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↑宿舎食堂
 昼からは実習。すっかり本結びを忘れていた。一回結びで上になる方を持って、下から上に通せばいいことがわかった。解くときは流線型になっている方を引けば弛む。
 16時10分、今日から校外へ出る。運転免許は持っているわけだから、当然仮免ではない。従って、教習車には「仮免許運転中」ではなく「2種教程中」という看板になる。講習前に免許証所持を確認される。実技は検定ルート1、2。17時10分からは検定ルート3、4。
 効果測定の練習。パソコンで一問一答。得点は88点で2点不足で不合格だった。今は間違えた方がいい。
 19時20分からはシミュレーターによる悪路走行。座席が揺れて画面に酔って気分が悪くなった。
 スーパーで抹茶ムースを買う。少ない夕食を補うためだ。
 23時00分頃寝る。

第5日 8月16日(金) 晴
 4時に目覚め、6時30分起床。検定コースの一部を使ってジョギング。朝食はスクランブルエッグ。
9時10分、効果測定の練習。最後にようやく90点が出た。
 学科は6と4。これで学科は終了となった。最後の学科で教官がホワイトボードに「ABC」と書いた。実は真ん中のBの縦棒と丸が離れていて「13」なのであった。思いこみは事故の元ということだ。今まで何年もの間、車の飛び出したことのない路地でも今日は出てくるかもしれない。過去の実績は考えず、常に最悪のことを想定して運転しなさいということだった。
 再び効果測定の練習。
 13時昼食、魚フライ。13時30分頃ノックされた。部屋の掃除である。それが終わってから急いで洗濯して部屋干し。実は部屋では干せない規則になっているので、干すのは浴室内に限定した。
 14時10分からは複合教習。3時限に渡って、Sという感じの悪い教官の指導を受ける。ダメだしするのが彼の仕事のようだ。コメンタリードライブという、道路状況を口に出すのだが、これが案外難しい。最後はディスカッションルームでビデオを見る。今時珍しいVHSとブラウン管の組み合わせだ。スタントマンの演技が秀逸だ。
 プロドライバーである以上は確かな技術を持って仕事をしろと諭された。安全運転するにはどれだけ安全確認するかにかかってくるという。
 17時20分、効果測定のテスト。97点で合格。間違った問題は2問だけ。その問題は教えてくれるが、プリントアウトの持ち帰りはできない。
 18時20分、シミュレーターは夜間の運転。さくら町まで運転する。2回事故した。あんないきなり出てきたら避けようがない。最後は雑談になった。大型を取りに来ている子でエンストばかりしてバッテリーがあがってしまったという。普通ATからいきなり大型は無理だという。合宿免許では岡山と香川がかなり甘いという。この鳴門は厳しくしているという。
 20時30分に戻る。グーグルマップの位置制度が悪く、常に小鳴門橋が現在地となる。
 気持ちを落ち着かせるためワイン飲んで22時30分頃寝た。

第6日 8月17日(土) 晴
 6時30分起床。朝、外は曇っていたがやがて晴れた。
 朝食とデザートを食べて、9時10分実技教習。今回は坂道の体験で小鳴門まで走る。実に簡単なコースで快適だった。制限速度に注意しながら走った。昨日の配車簿を見る担当教官はあの厭なSと書いてあったのに、Oに変わっていたことだ。行を見間違えたのか。しかしSはいたし、この日の残りの講習は書いているとおりだったのだ。検定員になって欲しくないのはSとHだ。彼らの顔を見るといきなりテンションが下がる。
 10時10分に戻る。ここから14時10分まで自由だ。ジョギングと洗濯そして散髪に当てることにした。上手くいけば月曜日に免許の書き換えができるので、身だしなみを整えようというわけだ。
 ジョギングは散髪屋探しも兼ねて、国道沿いを走る。空港口のホテルで折り返す。ダイソーで買い物。
 最後の洗濯後、近所の「シック」という散髪屋に行ったのは12時。怖そうな顔をした大将だ。食事中であった。スポーツ刈を頼む。座席をテレビの方を向けてくれるが、見たくないバラエティ番組だった。鳴門高校の試合になる頃に高校野球に切り替えてくれた。料金は3500円。和歌山より500円安かった。
 14時10分、今日も検定コースを走る。H教官は宣言通り厳しくしてきてくれた。この人は性格はやや悪いが、野球の話をすると乗ってくる。
 15時10分見極め。優しいK教官だから、突破は確信している。縦列駐車が意外と手こずり4回ほどやり直した。教官はポールの位置でハンドルを切ることを提案。不安を残す結果となった。
 その他、ドアミラーに隠れた歩行者が見えず横断歩道を一時停止しなかったこと、クルマの左寄せが30cmとすべきところが開きすぎていたこと、及び縁石にはタイヤを乗せないこと。発進時の指示器と左右の確認。そして巻き込み確認、進路変更3秒後の目視確認、カーブ走行時の揺れを回避、停車位置が停留所10m、踏切10m、交差点5m、出入り口3mを避けること。最高速度に注意すること。停車位置をずれないこと。ほんとに実にたくさんポイントがある。考えれば緊張してしまう。
 卒業検定申し込み後、スーパーで菓子を買い込む。
 19時夕食。0時30分頃寝る。

第7日 8月18日(日) 晴
 7時起床。7時30分に朝食。部屋であんみつとコーヒー。 今8時40分、チェックアウトまで2時間。検定開始まで3時間だ。緊張が高まってきた。
 9時40分、電話が鳴ってチェックアウトを促される。荷物をまとめて背負って教習所へ。荷物を殺風景な第2休憩所に置く。
 11時、宿舎に昼食を食べに帰る。海軍のようなカレーライスであった。
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12時00分、教室に集まる。全員で18名いる。普通2種と大型と二輪のそれぞれ1名を除き、普通1種の若い子だった。
 元警察署長という校長の持ってきたボードを見て戦慄した。私の担当検定員はあのSだった。この時点で悪い予感が走った。
 検定が始まるまでも不安が一杯だった。3コースは覚えにくくて苦手な上に、場内は昨日失敗した縦列駐車に、さらにハンドルを切るポイントが助手席側にあって見えにくい左鋭角だ。
 13時00分検定開始。後ろに監視役の事務員が乗る。縦列駐車と左鋭角は完璧にできた。
 しかし3コースの最初に曲がるところを間違えて、落ち着きをなくし、横断歩道に人がいるのを見逃す失態を演じてしまう。
 もうコース間違いはできないので、検定員に「次は左に曲がるのですか?」と聞くと、「あなたの得点はなくなりました。まっすぐ進んでクルマを停めて下さい」といわれた。
 つまり完走できず途中終了。もちろん不合格である。
 歩行者保護に失敗したのが敗因だった。
 失意のうちに待合室で過ごす。時計は14時を過ぎていた。卒検補修講習は15時10分に始まる。教官は無口ながら相性のいいO。検定は3コースだったというと、次は間違いなく1か2だということで、2コースへ。今回は完璧と思ったが、まだ速度超過と未確認と寄せの甘さがあったという。
 「はあ~」ため息をつくばかりでショックだ。友達にメールを打ちまくって慰める。
 宿舎に再度チェックイン。部屋は別になる。部屋の電球が切れていた。
 さて検定は火曜日だ。会社には月曜日の休暇はもらっていたが、火曜日はやっていなかった。職場の上司に火曜日を休む旨を連絡。実は検定に落ちれば、火曜も休むかもしれないと言い含めてあったので、スムースに事が運んだ。
 全くのフリーになる明日月曜日に何をするかを決める。自転車で遠出するのが一番安上がりなのだが、疲れることはしなくない。
 検討の結果、南海フェリーのガイドブックに載っていた奥祖谷観光周遊モノレールに乗りに行くことにした。ここにいくには鉄道とバスよりもレンタカーの方が有利であることがわかった。車に乗る練習になるというメリットもある。
 トヨタレンタカーのサイトにアクセスするとエラーになってしまい、徳島空港店に電話で予約する。
 18時10分夕食へ。延泊になっても料金が変わらないは合宿のいいところだ。夕食はちょっと水っぽい牛丼だった。
 悔しいのでお酒を飲んで忘れたい。自転車でローソンへ走り、ビールとからあげクンを買う。
 風呂に入って一杯。家に電話する。
 23時頃寝る。

第8日 8月19日(月) 晴
 6時30分起床。洗濯物がカビ臭い。部屋干しのせいだろう。
 部屋の電球が切れている旨を伝えてから外出。電球は帰ってからも直っていなかった。
 自転車でトヨタレンタカー徳島空港店に着いたのは8時10分。薄茶色のカローラアクシオを借りた。店員はこの夏は事故が大変多く、壁の「無事故連続記録0日」の字を指して昨日も起きたといっていた。払うつもりのなかった自己負担の分の保険も支払った。確かに四国の道は隘路だ。
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↑トヨタレンタカー
 8時30分、奥祖谷を目指して出発。今日は高校野球準々決勝4試合である。ラジオは朝日放送が入る。地元鳴門高校が第1試合。花巻東と対戦。惜しくも敗れた。
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 国道11号線から徳島道へ。現在四国横断道との接続工事中だ。徳島道は基本対向2車線だ。時々追い越し車線か登坂車線がある。非常待避地は多い。4車線にするための準備はなされているようだ。ただし今後の交通量を考えると2車線で十分である。
 美馬ICで降りて国道438号線を南下し剣山を目指す。道は対向も難儀なほど狭い。平日で交通量が少ないのが救いだ。しかし和歌山でもそうだが、山の中で突然に立派な道が現れたりする。剣山スキー場の横を通る。
 剣山の程近くにはリフトがある。観光向けの集落もある。ここを300度回頭して国道439号線を西進。
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 1128目的地の「いやしの温泉郷」「奥祖谷観光周遊モノレール」に着いた。距離は120.1km。備え付けのナビはなかなか賢い。これに比べるとグーグルナビはおもちゃと断言できる。
 さっそくモノレールに乗る。このモノレールの存在を知ったのは、フェリーに置いてあった徳島県観光案内だった。
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↑不思議なモノレール
 モノレールには駅舎なるものがある。運賃は1500円。しかしあくまでこれは遊園地の豆汽車と同じなのだ。車両は大人2人乗りのゴンドラが随時発車する。子供向きなのでカブトムシの角が前についている。
 ゴンドラは65分で一周する。途中停まらないので先にトイレに行くように推奨される。
 椅子に座るとまもなく左足首に激痛が走った。なんと椅子の下に蜂が隠れていたのだ。係員は手で摘んで逃がした。珍しくないのだろう。
 ゴンドラはいきなり下る。下ると座席は上向きになる。どうやらゴンドラの角度によって自動的に決まるらしかった。動力は三相交流モーター。一本のレールの裏にはラックがある。アプト式のようだ。ゴンドラには無線機と非常停止ボタンがある。ボタンはペットボトルの底でカバーされている。
 ゴンドラは殺風景な雑木林を進んでいく。木の名前を書いた標識があるだけで、木に関する解説はない。台風で切り倒された木が並び、荒れた印象がある。景色がいいのは頂上の一瞬だけ。森林浴にしてももうひとつすがすがしさがない。退屈な道中だ。鉄道ヲタクは足を運ぶだろうが、一般客からみるとあまり魅力がないので再訪者は望めないだろう。いっそ鉄道事業法に基づく鉄道にした方がいいかもしれない。
 ゴンドラは10台ほどすれ違った。平日にしては客が多い。
 温泉に入り、レストランでそばを食べた。
 13時39分に撤退する。来た道を戻るのも面白くないので、帰りは国道438号線を東進することにした。しかし剣山から東が通行止めになっていて断念。結局来た道を戻ることになった。
 美馬の薬局で蜂にさされた場合の薬を買った。割りと高いのを勧められた。
 ラジオを聴きながら高速道路。試合の合間はスマホのFMトランスミッターで音楽を再生。音が決定的に悪い。これは使い物にならない。
 17時には鳴門に戻った。しかし返却時間はまだあるので、卒業検定のコースを練習。どうしても確認を忘れるときがある。何回も練習するのだが忘れてしまうのだ。
 空港周辺の住宅街を通って再び練習。もうやることはやった。
 返却は18時30分頃になった。
 自転車でローソンに寄ってから宿舎に戻る。夕食はトンカツだった。
KC4A0101.jpg「明日はカツぞ」と思いながら、23時頃寝た。

第9日 8月20日(火) 晴
 6時起床。
 7時にジョギング。もう私は今回の卒検合格には神頼みしかないと思った。したがってこの日は近所の神社に参ることにした。まずは一番近い八坂神社へ。もちろん誰もいない。合格を祈願。続いて北に向かったところにある稲荷神社へ。そしてそこから東に行ったところにあるもう一つの八坂神社。合格祈願。私が神頼みするのはほとんど初めてで記憶にない。
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 シャワーして、8時過ぎに朝食。
 10時前に管理人が買い物に行くということで鍵を回収に来た。
 何としても今日は合格しなければならない。これ以上会社を休む延泊は無理なので一時帰宅となる。誓約書によると延泊料金はこちらで払うことになるらしい。すると通学できる塩屋自動車学校に転校することも考えないといけない。考えられないような出費が発生してしまう。
 10時40分、不安の中宿舎を後にする。一昨日と同じように休憩室に荷物を置く。ゲンを担いで前回とは置き場所を変えた。
 11時15分昼食の為に宿舎に戻る。
 緊張の中、担当検定官の発表。普通二種はHY氏、コースは1だった。コースはもっとも得意で、HY氏は禿頭のもっとも緩い教官だ。よほどのヘマをしない限り大丈夫だろう。
 それでも検定の始まる13時05分までは緊張して何度もトイレに行った。
 13時10分検定開始。右方向転換と左鋭角は完璧だった。路上に出る。最初は前に教習車が走ってくれたので、それについていく感じで楽だった。遅い原付にイライラさせられたが、制限速度に近い速度で走ることに気を使うこともなく、かえって助かった。
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 横断歩道に2回人影を見かけ、見事に一時停止。指定場所の4回の停止も完璧だった。というか4つ目は教官が忘れていたらしく、コースの最終盤であった。判定も緩かった。結果5点の減点だけで合格した。
 終わってみればあっけなかった。
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 帰りは教官と雑談。徳島のおみやげは何を買いますか?と聞くので「金長まんじゅう」と答えた。教習所をストレートで合格した奴はたいがい大きな事故をするという。それは私への慰めだろうが、実際そうであるような気もする。彼はまた大型2種を取りに来て下さい、と営業を忘れなかった。地方の教習所はどこも経営が厳しい。教官にボーナスが出たのは盆休みの差し掛かったところだったという。
 卒業式前に記念撮影。若い女の子と一緒なので少し嬉しい。
 学校から交通費が支給される。和歌山市からはフェリー代の往復4000円のみだ。最大2万円まで支給されるという。
 卒業式は所長と大型2種合格者の2人と一緒。ようやく解放されて15時10分に重い荷物を背負って出発。帰りの方が重いので自転車のバランスをとるのも難儀だ。土産の金長まんじゅうを買ったファミリーマートで、荷物を送ってもらえるように頼んだが、袋に入っていないとダメということだった。セブン-イレブンでも同様だった。仕方がないのでそのまま徳島港を目指すことにした。和歌山行きフェリーの次便の出航は16時30分なのであまり時間がないのだ。
 港に着いたのは16時15分。フェリーかつらぎが待っていた。ちょうど自転車の積み込みが始まったところだ。最初に乗船したので、机のあるビジネスシートを確保できた。
 家に帰宅時間を連絡。どうしたことか船内の自販機には炭酸飲料がないのでノンアルコールビールを飲む。
 船内はお遍路さんや帰省客で往路程でなくても混雑していた。
 自転車の退船は最後の方だった。暗いデッキで待つのは退屈だった。
 19時頃帰宅。ビール付きの夕食で家人に凱旋報告する。
 今回、合宿で体験した鳴門自動車学校についての印象を記しておきたい。こういう教習所の教官は厳しいことをいうのは何人かいる。おそらくどこでもそうだろう。しかし全ての教官が大甘だったたらどうなるのだろう。自ら運転する時に事故が増えることはないだろうか。自動車事故の不幸なのは、自分が傷つくことよりも、他人を傷つける方が多いのである。だから全ての教官が厳しいのは、つらいものがあるが、数人ならば許容するべきだろう。この鳴門自動車学校はそのレベルだと思う。合宿の食事は貧弱である。しかし近くにコンビニエンスストアーとスーパーがあるので、必要ならば買い出しに行ける。ホテルと違ってタオル類の洗濯をしなければならないのが面倒であるが、それは仕方がないだろう。総合点としては80点。大型2種を受ける機会があればここにしようと思う。

最終決戦 9月2日(月)
 まだ戦いは少しだけ残っている。免許センターが実施する学科試験に合格しなければ、免許が取得できないのである。これは1種免許も同様である。
 会社は半日有給休暇を取り、昼から免許センターに向かう。幸い会社は免許センターの近くにあり、12時半に仕事を終えても、午後の試験に間に合う。
 筆者の場合、県外の自動車学校を卒業したので、事前に事務所に書類を持ち込む必要があった。
 書類を2通書いて、県の証紙を貼る。まずは適性検査。中型以上と2種免許には深視力検査が科せられる。担当官に「手前すぎる」と指摘され、5回のチャンスで合格した。
 試験を待つ。教室には1種が25人。若い人が中心。しかし運転免許が欲しい人は実に幅広く、試験の説明中も机に伏せて寝ている風俗嬢から、免許取消から再挑戦してきたようなオッさんまで様々である。
 バイクは2人。2種免許は7人だった。
 マークシートの回答紙が配られる。漢字記入欄というところがあり、ここには試験官が発する言葉を漢字で記入するのだ。今回は「信号機」だった。簡単な漢字だが、オッさんはわからなかったようである。このオッさんは視力検査の時でも「この色は何?」と聞かれ、「上」と答えていたので、本来は運転させるべきではないかもしれない。
 試験が始まった。問題は使い回しで、汚すと不合格になる。自信がないのは8問。仮にこれがすべて間違いだったとしても、合格点の90点には達する。合格を確信した。途中退室はできないので、何回か見直した。
 あとは合格発表を待つばかり。1種は受験者の半分くらいしか合格していなかった。30年前に比べると合格率が落ちているような気がする。今の子はスマホにハマって、勉強をしなくなっているのかもしれない。
 続いて2種の合格者を発表。電光掲示板には筆者の受験番号002が輝いている。合格だ。しかしガッツポーズはもちろん、拳を握ることもしなかった。ただ7人の受験者はいたはずなのに、合格したのは筆者だけとはどういうことだろう。一発試験では先に学科を行う。運転経験のある者でも、何の勉強もしなければ、合格はしない。おそらく今回の受験者は自動車学校卒業生ではなく、一発試験なのだろう。
 その後、試験をした教室に戻り、免許申請用の書類に記入。写真撮影して、免許を手にしたのは17時前だった。
 これで9泊10日の合宿と半日の戦いは終わった。教習では体調管理と安全確認の徹底が事故防止につながると、教官やビデオ教材が繰り返し述べた。この教習後、安全確認の回数が増えたし、運転がうまくなった気がする。被害者よりも、重い十字架を背負う加害者になるのはゴメンだ。初心に還って、安全運転を心得、結果として無事故運転が出来れば、高い費用のかかった合宿免許取得は意義のあるものとなるに違いない。そう思うことにした。
終わり
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秋山

あなたがスーパーに寄ったのは「マルナカマート」です。徳島県では「マルナカマート」と「マルナカ(イオングループ)」の2つの名称を使い分けるのが普通です。ちなみに「マルナカ(イオングループ)」は写真にある運転免許センターより西側の国道28号線との交差点にもあります。明日金曜日はバス会社の入社試験日です。結果発表は来週という事です。
by 秋山 (2016-11-17 23:43) 

umayado

秋山様

マルナカマートの件、ご指摘ありがとうございます。マルナカとマルナカマートは別会社なんですね。そういえばマークとか全然違いますね。
バス入社試験。吉報をお待ちしています。
by umayado (2016-11-21 23:27) 

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